今回はリクルートのメディア事業を分析します。
メディア事業とは
リクルートはメディア事業を以下のように分類しています。
メディア&ソリューション事業は⽇本国内において、住宅、美容、結婚、旅⾏、飲⾷、その他の各事業分野に合わせた企業クライアントの集客・顧客管理、決済にわたる事業運営に係る各種ソリューションを提供する販促領域、個⼈ユーザーの求職活動及び企業クライアントの採⽤活動⽀援サービスを提供する⼈材領域で構成されています。
202103Q4有価証券報告書
つまりはライフイベント・ライフスタイル領域でのマッチングと企業支援を指します。
このメディア事業の根幹にあるのが「リボンモデル」です。

このリボンモデルは祖業でもある求人情報に共通する考え方で、多数の個人と企業をマッチングさせる役目をリクルートが担うというものです。
この考え方を求人に始まり、不動産や旅行などに広げてきた結果が今のメディア事業となります。
各事業の説明
ここではメディア事業のより詳細に迫っていきたいと思います。
主要なブランドはこちら

これらをモデル化するとこのようになります。

これらのうち主要なサービスである
・住宅分野「SUUMO」
・結婚分野「ゼクシィ」
・旅行分野「じゃらん」
・飲食分野「ホットペッパーグルメ」
・美容分野「ホットペッパービューティー」
・国内人材分野「リクナビ」
に注目します。
どの事業も「リボンモデル」に基づいたマッチングビジネスであることには変わりがないですが、お金の撮り方が異なります。
「広告課金」と「成果課金」モデルが存在します。
成果課金モデルは「じゃらん」で行われており、個人の宿泊に対して宿泊施設から手数料を取ります。

一方広告課金モデルは「じゃらん」以外で行われ、リクルートのメディアに情報を載せる手数料を取ります。

各事業においてどちらのモデルが最適かはマッチング率や各案件の規模などで考えているのではないでしょうか。
売上高推移から分析
最後に過去10年ほどの各事業の売上高のデータから分析していきたいと思います。
2021/3の有価証券報告者から各事業を売上費率を出すとこのような形になります。
販促その他には「Air ビジネスツールズ及びスタディサプリ」が含まれます。

販促領域のみに注目するこのようになります。
住宅分野が1/4を占め美容がそれに続きます。
またその他の割合もかなり大きくなっています。これはコロナ禍でスタディサプリが急成長したことが影響していると考えられます。

では直近数年ではどのような数字が見られるのでしょうか。
各事業の売上高推移はこちら。

各事業の前年比売上高推移はこちら。

住宅・美容は安定した成長が行えている一方、旅行・飲食についてはコロナ前から成長に翳りがみえ苦戦している様子が伺えます。
これはひとえに競合の存在が大きいでしょう。旅行・飲食は競合が多くリクルートが業界1位を獲得しているとは言えません。一方、美容については競合が見当たりませんし、住宅も競合はいるものの業界1位を維持できています。
今後はスタディサプリを新たな成長の柱に取り込みながら、Air ビジネスツールズを充実させ店舗支援を軸として広告を伸ばしていこうと考えているのではないでしょうか?